最近私はパリ・オペラ座のエトワールだった
ウィルフリード・ピオレWilfide Piolletが
フランス・ダンスセラピーの学会
の名誉会員(Le membre honoraire)の1人だと知りました。
ウィルフリード・ピオレは、オペラ座のエトワールでしたが、
広い見解を持つ女性で、バロックダンスを学んだり、
自身のダンス・テクニックを編み出したりしました。
そしてセラピーにも精通していたことを知り、
私は大変感銘を受けました。
ウィルフリードのバレエ・メソッド(La méthode)は、
バール・フレクシブル(Barres Flexibles)と言います。
日本で一般的に使われているダンスする前におこなう、
あたため運動~ウオーミングアップ( L’échauffement)は、
バーを使うバー・レッスン(A la barre)です。
数年前から、床を使うバール・オー・ソル(La barre au sol)
またはバール・ア・テール(La barre à terre)も
少しずつ見られるようになりました。
バール・フレクシブル(Barres Flexibles) は、
バーや床に身体の重みや動きを預けることはせず、
床の上に立ったままでL’échauffementをおこないます。
パリのバロック・ダンサーのひとり、
ギョーム・ヤブロンシュカは、
ウィルフリードから直接、バール・フレクシブルを学び、
10年以上前からバロック・ダンスに応用して、
大事なメソッドのひとつとして取り扱っていました。
しかし私は、長い間、このメソッドに興味を持つこともなく、
また意味を深く考えたりすることは何もありませんでした。
~ なぜウィルフリードがこのメソッドを作ったのか。。
ウィルフリードが、メソッドを解説している本があり、読んでみました。
「バレエが上手になるだけではなく、
否、本当の意味で上手になるために、
もっと心の内側に、
自分の精神に向き合うものであることを
それは人間力であること。。」
そして、
「床の上で(センターで)、
身体のいろいろな動きを内面で感じることによって、
心に変化があり、身体に変化があるもの。」
ということ。
すなわち「精神」の仕事であり、
それが「芸術」なのだ、ということなのだと思います。
足を上にあげる、という動作にしても、
いい筋肉で柔らかく、
なぜ高くあげる必要があるのか?
誰かがやってかっこいいから。。?
そういったもろもろの意味を考えて、
心の動きと共に、上手に身体と心と頭を使い、
精神を統一させていくものだと知りました。
それは、怪我の予防にもなるのではないかと思います。
長い間、近くで見ていても、見向きもしていなかった、
バール・フレクシブル・メソッド。
今や、その創始者は、ウィルフリードが私の目の前にいて、
セラピーに繋がっていました。
ウィルフリードの功績を知った時、
ギヨームの教えているメソッド内容を思い出し、
すべてが頭の中で繋がったのでした。
そしてクリスティーヌにこの話をしたところ、
バロック・ダンスのウオーミング・アップの時間に、
「これも、ウィルフリードの バール・フレクシブル・メソッドなのよ。」
と練習の時にやっていた、いつもの動きについて説明をしてくれました。
クリスティーヌは、現在、70歳過ぎました。
股関節の手術をしましたが、まだ踊っています。
すごいものです。
パリ・オペラ座のバレエ・ダンサーは、
若い年齢で退職していきますが、
若さで表現するだけで終りではなく、
退団してからも、本物のダンサー、芸術家であり、
それは音楽家や絵を描く人や彫刻家などと同じく、
一生、芸術性を深める努力をしていくものだと知りました。
そういったウィルフリードの功績のおかげで、
バレエに深みを感じるようになり、
近しく感じるようになってきました。
そしてウィルフリードが、
フランスのダンス・セラピー学会の名誉会員である意味が、
理解できたような気がしました。
写真は、 Wikipediaから引用させていただきました。
パリ・オペラ座バレエ&ダンスセラピー
2020.10.08
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